FEATURE 39

The Opening of a New Era.

DESCENDANTのディレクターを務める西山徹とシーズンビジュアルのディレクションを担当する長谷川昭雄さんが、今季のビジュアルについての話題から、コレクションの製作などをテーマに語り合う、恒例の対談企画第二弾。 DESCENDANTの今季のビジュアル ーー今シーズンのビジュアルについてテーマやコンセプトなど教えてください。 西山(以下N)特にテーマはなく、ただ多様性を表現しようと、性別や年齢も様々なモデルに着てもらいました。 長谷川(以下H)それぞれバラバラに撮影した写真を組み合わせて集合写真のように見せようとは思っていました。前回から引き続きの方法ですが、集団で撮った場合だと出来ることに限りがあり、各人をとった場合には作業上の効率が良いという面もありますが、それよりもコラージュしていくときに面白い組み合わせが浮かんで、同じアイテムを別々のモデルが着ている写真を並べたり、モノクロやトーンを抑えた写真を混ぜたり。ちょっとアニメっぽい表現をしたかったんですよね。 N (DESCENDANTのホームページを見ながら)今回もあったね、同じバーシティジャケットを着ている三者三様のコーディネイトが。デジタルとアナログの表現が共存してる感じが良いんじゃないかなぁ。 H (同じくホームページのスライドを見ながら)時間を置いて改めて見ると、すごく良いです。出来上がったばかりだと、ずっと集中して見てるから良いのか悪いのか分からなくなることがあって。酔っ払ってるみたいな状態で。

ーー年齢や体格も異なるモデルを起用することで多様性を表現していますが、そういうバラバラのモデルをスタイリングする上で苦労はありますか? H 最初に方向性を決めて、それに向けて何をすべきか考えながら作業するので、特に難しいとかはありません。ただサンプルの都合でこの色を着せたいけどサイズが合わなかったり、パズルみたいな状況に陥ることはよくあります。とにかく僕は何でもやってみてから決めるタイプなので、実際にモデルに着せてみないと何も進まないと言うか。それなのに、まだ服のサンプルも見てない段階で長々と打ち合わせするとか、すごく苦手なんですよね(笑) N DESCENDANTでそういうことあった? H ないです! まだ若かった頃の話です(笑) 最初からキメキメで撮影を進めるより、現場で考えながら進行する方が僕のやり方には合ってる気がします。とは言え、モデルとブランドの相性もあるので、事前のフィッティングは必ず行うようになりました。 ーー単なる予定調和ではないところが何か面白い展開の生まれる余地になったり? H そうだと思います。

多様性を象徴するモデル N DESCENDANTの多様性を象徴する一つの要素としてモデルをやってもらってる之雲(ゆくも)の場合も、最初はこどもがおとなの服を着せられている感が否めなかったけど、もう当たり前になってきたね。固定概念が崩されてきたっていう。 H こどもは日々成長しブランドの適正年齢に近付く一方、おとなは徐々に老いていく(笑) 生っぽさをすごく感じます。 N 適正年齢というか、どの年齢層にもそれぞれのスタイルがあっていいよね。DESCENDANTってそういうブランドでありたい。 H 色々な年齢層のモデルを起用しているから余計にそう感じるのかもしれませんね。 ーー女性のモデルを起用する意味についてはどう考えていますか? N DESCENDANTでは不定期ながらレディースといわれるカテゴリも展開しているので、いわゆるジェンダーでカテゴライズということが無意識に当たり前だと思っていましたが、アキオ君のコーディネイトを見ると、女の子が着ている服を見て「あれ、いいなぁ」って思う。それって本来のジェンダレスなありかたで多様性かなって。今までは男性がメンズといわれる服を着ているのが男性にとっての参考写真だった時代だったわけで。 H DESCENDANTはベーシックなアイテムが多い分、女の子にも着せ易いのかもしれません。ボタンダウンシャツやチノパンだったら着られるだろうと想像し着せてみると、こんな風になるんだっていう驚きはありますが、そこがまた良かったり。

DESCENDANTのコレクション製作 テツさんは服を作るとき、どんなことを意識しているんですか? N 最近のDESCENDANTは、誰が着ても着た人の個性が際立つような服であったらいいなって。だから自然とスタンダードなものが多くなってるんじゃないかなぁ。何となく平成までは、服が服として主張する時代。その主張する服が主役だったのかなって。でも令和を迎えた今はもっと自然な感じになって来てる気がします。まずは人ありきみたいな。みんなの古着の選び方とかファストファッションの採り入れ方を見てもそう感じます。確実に新しい時代に突入しましたね。 ブランドに多様性を持たせるにはシンプルな服作りが求められるということでしょうね。 N あとはどこにブランドのアイデンティティを置くか、それがすごく難しい上にますます重要になっていると思います。 H テツさんの場合、ブランドごとに頭の中を整理するのが大変だろうなって。途中まで服の企画が進行したところで、ブランドを変更したくなったり、結構ありそう。 N あるある(笑) ブランドがクロスオーバーすること。アキオ君もあるでしょ? H ですね。でも僕なりに突き詰めちゃうと、結局のところ僕は僕でしかないので一緒でも仕方ないって開き直っちゃうんです(笑) N DESCENDANTではアキオ君にビジュアル全般をディレクションしてもらい、一枚の写真で完結するビジュアル製作とは違って、関わり方が深いよね。 H 正直、行き当たりばったりな部分もあって、そうじゃないと、緊急事態に対応できなくなるので。でも予期せぬ事態が往々にして化学変化を起こす起爆剤になったりするので、気は抜けません。それとモデルも開拓したいのでが、今のご時世じゃなかなか難しくて。やっぱりプロフェッショナルのモデルが悪い訳じゃありませんが、ただ洋服を見せるための器みたいに感じてしまうんです。 N そうだね。我々がモデルさんに求めることのハードルが結構マニアックな領域ということもあります。 H ブランドのビジュアルにフレッシュな変化をもたらしてくれる、そんな子が居たら良いんですけどね。

長谷川 昭雄(はせがわ あきお)
1975年生まれ。スタイリスト、ファッションディレクター。大学在学中、喜多尾祥之氏に師事しアシスタントに。ライター修行を経て、スタイリストとして独立。2007年『MONOCLE』(英国) の創刊に参加、2015~16年はファッションディレクターに就任。2012年には『POPEYE』(マガジンハウス) のリニューアルに携わり、2018年までファッションディレクターを務める。現在はウェブマガジン『フイナム』と協業するファッションメディア『AH.H』をディレクションする他、雑誌『UOMO』(集英社) にてファッションコラムを寄稿。ファッションブランドのコンサルティングやディレクションも手掛けている。